収入が増えたら、モノを買う余裕ができて、消費全体が上向くとの見方もあるが、将来を考えて余裕資金を貯蓄に回す人が増えるため、政府が実行する給付金などの経済対策は効果が薄いとの声も聞かれる。政府は今年夏の段階で、賃上げや減税などで国民の所得増を掲げているが、これらが現実のものとなった場合、果たして消費者はどのような行動を取るのだろうか?
そうした中で、I-House(東京)が運営する住まいのメディア『mitaina』では、「もし本当に所得が増えたら、何にお金を使いたいか」について20代以上の会社員男女200人を対象にアンケートを実施した。調査期間は2023年11月24日~2023年12月3日。
それによると、「政府が掲げる所得増政策でどれほど所得が増えると思うか?」との問いに、実際に所得が増えると答えた人は19%にとどまり、「変わらない」と答えた人が68%。現実では賃上げの実現性や将来的な増税への懸念を感じている人が多い様子だ。
では、所得が増えた場合は、何に使われることになるのだろう? それについて聞くと、最も多かったのは「貯蓄」で79人が回答、2番目に多かったのが「投資」で75人、モノを買うことはしない人が多い。以下、「旅行」が60人、「暮らし」が42人、「住まい」が29人と、消費に関係する項目を挙げた人は少数派で、このアンケート結果からは、政府の政策から経済全体を上向かせる効果は小さいとみることができそうだ。
2年前の同様の調査との比較では、岸田政権が掲げた「所得倍増」と所得の増える額への期待値が高かったこともあり、投資や住まい(住宅購入という点では投資)が上位だったものの、今回は貯蓄と回答する人が増えた。2021年と2023年の比較をざっと記すと、貯蓄が4位から1位にランクアップ(2年前56人に対して今回は79人)、投資が1位から2位にランクダウン(2年前75人に対して今回も75人)、住まいが2位から5位にランクダウン(前回68人に対して今回は29人)、旅行は3位から順位を変えていないものの前回60人に対して今回は45人となった。