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バズ・ラーマン監督「エルヴィスを介して、1950年代、60年代、70年代のアメリカを描きたいと思いました」 映画『エルヴィス』【インタビュー】

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-エルヴィスを演じたオースティン・バトラーも、アフター・エルヴィスの世代に属するわけですよね。

 実はオースティンとエルヴィスにはつながりがありました。2人は同じ年齢の時にお母さんを亡くしています。そして、2人ともお母さんが死ぬ悪夢を何度も見たそうです。だからオースティンは、エルヴィスとの運命的なつながりを感じていたようです。それで、彼はものすごくエルヴィスのことを研究していました。彼は初めに私にビデオテープを送ってくれたのですが、それは特にオーディション用というわけではなく、彼が普通に歌を歌っているところが映っていました。でも、それを見たときに、私はオースティンがエルヴィスと同じ感性や魂を持っていると感じました。

-悪役のパーカー大佐役に、ハリウッドの良心ともいわれるトム・ハンクスを起用した理由は?

 俳優は、いつも「もっと幅広い役柄を演じたい」と思っています。もしトムが楽器だとしたら、今までわれわれが聴いてきた音楽以上のものを、彼は表現できると思います。「今回は、ダークなものを演じたい」というのが彼の希望でした。アメリカの観客はそんなトムを見て不安になるらしいです。例えば、自分が大好きな、人のいい親戚のおじさんが、急に悪い人になったような気分になるようです(笑)。

(取材・文/田中雄二)

バズ・ラーマン監督(左)とオースティン・バトラー