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柳楽優弥「聴覚だけでその作品の世界観に浸れる」 Amazonオーディブルで村上春樹の名作を朗読【インタビュー】

ー今回のAudibleの収録は、吹き替えの仕事ともまた違うものなのでしょうか。

 そうですね、淡々と読み続けるという感覚です。ただ、もちろん滑舌やどこを強調して読むかなど、ディレクターの方に指導していただきました。実はまだリテイクが残っているので、この後もまた収録です(笑)。

ー吹き替えも含め、声の仕事については、どんな思いがありますか。

 自分ではあまり得意だとは思っていないです(苦笑)。やはり声優さんはプロですばらしい技術を持っていらっしゃいますから。ただ、今回は、大好きな村上春樹さんの作品だったので、チャレンジしてみようという気持ちで挑みました。村上さんの世界に浸っていられた時間は幸せでもありました。

ー今回朗読した「パン屋再襲撃」の面白さはどこにあると思いますか。

 何十年経っても色あせないということだと思います。僕が生まれるよりも前の、86年の作品なんですが、今、僕が読んでも面白いと感じる。Audibleの場合は、例えば、電車やバスに乗っているときに聞いていたら、たまたま電車やバスの中のシーンが出てきたりする。現実と村上さんの世界観が重なる瞬間が生まれるというのが面白いところだと思います。

ーでは、柳楽さんが俳優として活動し、お芝居をする上で、どんなことを大切にしているのかを教えてください。

 年齢によっても変わるとは思いますが…きちんとせりふを覚えるといった当たり前のことを当たり前にやるというのが大事にしていることです。理想を言ってしまえば、自分がそれに関わってみたいと心から思える作品に関わりたいなとは思っています。

ーそれは例えばどんな作品ですか。

 20代の頃にたくさんの作品に出演させていただき、自分の好みや自分に合っているものに気付けたので、30代はより自分に合った、面白い作品に関わりたいと思っています。

柳楽優弥