-アンナさんにとって、プロデューサー兼主演の真田広之さんの存在はどういうものでしたか。
お会いする前は、時代劇はすごく厳しいと思っていたので、怖いイメージがありました。でも、実際にお会いしてみたらとてもフランクな方で、「何でも聞いてくれていいよ」という感じで、すごく優しいんです。相手役が真田さんでなかったら、多分、鞠子を演じ切れなかったと思うぐらい、全ての面で助けていただきました。私がちょっとやりにくいと思うことがあったら、「じゃあこうしてみたら」と、女性の動きも含めてサジェスチョンしてくださいました。
あとは、普通主演をしていたら、お休みの日は現場には来ないと思うんですけど、出番のないシーンでも必ず現場にいらして、モニターで全てをチェックして、少しでもおかしなところがあったらスタッフに直すように言ってくださいました。また、アクションのトレーニングを皆でしていたら、まさか来てくださるとは思ってなかったのに、普通に入っていらして、「ちょっとこうしてみたら」みたいな感じで、アドバイスを頂きました。そこには、作品をもっと良くするためにというパッションがあるんですね。本当にいろいろなことを学ばせていただきました。
-ブラックソーン=安針役のコズモ・ジャービスさんとの共演はいかがでしたか。
彼の声は、ずっとブラックソーンだったので、数日前まで、私はコズモさん本人の声を聞いたことがないと思っていました。それぐらい役に没頭している感じでした。ご本人は全くそんなことはないと言っていますが、撮影期間中は自分を捨てて、役に成り切っているところが素晴らしいと思い、驚きながら共演していた感じです。役を離れてからは全く印象が違います。
-視聴者に向けてドラマの見どころやアピールポイントをお願いします。
私自身、今まで海外の映画やドラマで日本人が描かれる時に、何かちょっと違うなとか、言葉もちゃんとしゃべっていないとか、日本人の女性の描写のされ方に違和感を覚えたりしていました。なので、やるからには同じことを繰り返したくないと思いましたが、プロデューサーのジャスティン・マークスさんとお話した時に、ちゃんと日本人のプロデューサーやスタッフを入れて、日本人が見てもおかしくないと思うものを作りたいとおっしゃっていたので、それはとてもいいことだと思いました。
昔は今とは違って、女性が発言できないことも多かったと思いますが、今回は女性のキャラクターが考えていることもきちんと描かれているので、その時に彼女たちがどういう気持ちでいたのか、どういう苦しみがあったのかというのを見せてくれるエピソードもあります。私はそういうことがとても大事だと思いました。これまでにないような、日本の文化と歴史に忠実なシリーズになっているので、そこを見ていただきたいです。
-このドラマは、アンナさんにとってどんなものになりましたか。
とても大きなものになりました。私は今までも海外で日本人の役を演じてきましたが、友達に、「ここは日本人からするとちょっと描かれ方が違うんだけど…」と言い訳をしなければならないことがたくさんありました。でもこの「将軍」に関しては、本当にいい作品だと思えるし、言い訳をしなくてもいいことが自分にとってはすごく大きいです。今後の作品でも、「将軍」に負けないぐらい忠実に日本を描いてくれるものを作ってほしいと思います。それぐらい、この作品に出られたことを誇りに思っています。
(取材・文・写真/田中雄二)