徳川家康をはじめとした歴史上の人物にインスパイアされたジェームズ・クラベルの小説をドラマシリーズ化した「SHOGUN 将軍」が、2月27日からディズニープラスの「スター」で独占配信される。戦国一の武将・吉井虎永(真田広之)と、その家臣となった英国人航海士のジョン・ブラックソーン(後の按針=コズモ・ジャービス)、2人の運命の鍵を握る謎多きキリシタンの戸田鞠子が繰り広げる壮大な叙事詩だ。本作で、鞠子を演じたアンナ・サワイに話を聞いた。
-出身はニュージーランドで東京育ちなんですね。
ニュージーランドで生まれて、日本でちょっと過ごしてからは、香港に2年ぐらい、フィリピンに5年。10歳の時に日本に戻りました。
-ということは、今回は通詞(つうじ)の役でしたが、日本語と英語が混ざったせりふも、それほど苦にはならなかったのでしょうか。
そうですね。普段から、どちらも話すことには慣れています。大学の友達と会話をするときは、みんな日本語も英語もしゃべりますし、会話の途中で切り替わったりもするので、そこは大変ではありませんでした。でも戦国ドラマの日本語というのは初めてでしたし、鞠子の英語も普段の私の話し方とは違って、ちょっとイギリスなまりで、間に日本語を入れたりもしたので、それに慣れるのが大変でした。
-出演までの経緯を聞かせてください。
オーディションを何度も受けました。最初にせりふをテープに録りましたが、ずっと返事がなかったので断られたのだと思いました。何週間かしてから、「もう1回、監督の前で台本を読んでみませんか」というお話があって、それから最終オーディションまで行って決まりました。期間は2カ月ぐらいあったのかな。テープに録音したのは3、4回でした。
-ハリウッドではオーディションが基本なのですか。
もちろんそうではないものもありますが、基本的にはオーディションです。個人的にはオーディションはとても大事なプロセスだと思っています。「将軍」も一度は駄目かと思いましたが、何度もオーディションを受ける中で気付かされることがたくさんありました。またオーディションを受けていないと、役についてきちんと理解しないうちに現場に入ってしまうこともあるので、オーディションを経ることによって、スムーズに現場に入れる気がします。それに自分が本当にその役に合っていた、選ばれたという自信もつくので、私はオーディションを受けるのが好きです。
-今回は初の戦国ドラマでしかもハリウッドでの製作でした。せりふはもちろん、着物の着付けや所作なども大変だったと思いますが。
全てゼロから学ぶ感じだったので難しかったです。おっしゃるように、着付け、歩き方、座り方、立ち方を全て学ばなければなりませんでしたし、書道や乗馬も初めてだったので大変でした。撮影現場はとても緊張感があったし、きちんとしなければというプレッシャーもありました。鞠子が背負っているものがとても重かったので、自分の全てを注ぎ込んでいるイメージでした。
-演じる上で心掛けたことはありましたか。
何かを心掛けるというよりも、衣装を着た瞬間に鞠子になって、自分ではなくなる感じがしました。常に気が張っていたと思います。あとは撮影期間が10カ月もあったので、役を背負っているのが長くなればなるほど、切り離せなくなっていって、自然にできた部分はあったと思います。気を付けた点は、見た目ではなく、彼女は今どういう状況にいるのかと内面から考えた方が、役と向き合える気がしました。例えば、夫の文太郎さん(阿部進之介)と一緒にいる時は、彼に心を許していないから、ちょっと氷のように見えたりとか…。そういう意識はしました。