カルチャー

地元とゲストが繋がりあえるホテル 「キャプション by Hyatt なんば大阪」が開業

日本初進出となるハイアットブランドのライフスタイルホテル「キャプション by Hyatt なんば 大阪」が6月12日、大阪屈指の繁華街・なんばで開業した。宿泊拠点としてだけでなく、徒歩圏内にある大阪の食、お笑い文化、伝統芸能の発信拠点などとコラボレーションし、地元の人やモノと触れあえる機会を利用者に提供する。2025年の大阪・関西万博を控え、インバウンド需要が高まる大阪の新名所になりそうだ。
「キャプション by Hyatt」はハイアットが2019年に発表した新ブランドで、地元に密着したホテルづくりが特徴。これまでに米国(テネシー州メンフィス)、中国(上海)で開業しており、世界3カ所目として、大阪なんばに白羽の矢を立てた。

11日に行われた内覧会で、「キャプションby Hyatt なんば大阪」の福田慎太郎総支配人は「地域とのつながり、体験を大事にしており、(関西の)文化の中心とも言えるなんばの地に開業することになった」とあいさつ。中に一歩入ると、いわゆる一般的なロビーの変わりに「トークショップ」と呼ばれる空間が広がる。利用者と地元の人が交わり、〝ええもん〟〝おもろい〟を楽しめる多彩な体験イベントを展開する場所だ。
体験イベントは月1~2回、老舗たこ焼き店「たこ焼き道楽 わなか」の職人を招いたたこ焼きづくり、千日前道具筋商店街の店主が講師の包丁研ぎ、「なんばグランド花月」のお笑い芸人の舞台などのほか、昭和レトロな建築で知られる「味園ビル」内バー店主による町歩きツアーなど、ホテルを飛び出した企画も。「なんばは〝ごちゃまぜ〟がいいところ。僕らが見てる好きな部分を共有できるのが、地元民の強み」。バー店主のB・カシワギさんの言葉に、わくわくさせられる。

トークショップのレストランでは、黒門市場の鮮魚店で仕入れた魚介類を使った郷土料理「ガッチョ(小魚)の唐揚げ」や「海鮮丼」、大阪産野菜を使ったピザなどのほか、串カツ、肉吸いなどの大阪ソウルフードをメニューにラインアップ。大阪産クラフトビールやスパークリングワインといった、ご当地のお酒も用意している。
主対象に見込む20~30代の外国人らが、なんばの人、モノ、文化とつながることでまたとない体験を得るだけでなく、地元にも活性化をもたらす。内覧会に参加した日本ハイアットの坂村政彦代表取締役は、「ここに集まる人により、真のコミュニティーになっていくのが目指す姿」と話した。

屋内装飾にもこだわりがある。「最大の特徴の一つはアート」と福田総支配人が話すように、随所になんばを中心とする和の世界をちりばめた。スタンダード(20平方メートル)、デラックス(30平方メートル)の2種合わせて167室ある客室では、黒門市場の活気、食欲を刺激するにおいや湯気、食べ物をほおばるリズムを表す壁画がお出迎え。バスルームに入ると、関西弁「なんでやねん」を英語表記した「Nandeyanen」がアートで出現する。ほかにも「たこ焼き食べたん?」「楽しんでってや」など、思わず笑みがこぼれる遊び心たっぷりの英訳付きの関西弁表示を、あちこちに見ることができる。

キャプション by Hyattは年内に東京・兜町とベトナム・ホーチミン、数年内にオーストラリア・シドニーでも開業を予定する。日本ハイアットの坂村氏によると、ハイアットグループは国際都市でありながら唯一無二な人情味や伝統的な日本的要素が詰まった大阪を、観光面での潜在性が高い「最重要進出目標都市」と位置付けている。坂村氏は「現在、大阪のハイアットグループホテルはキャプションブランド1カ所だけだが、中期的には東京と同等の7カ所まで引き上げたい」と展望を語った。

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