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世界の脱炭素化と資源循環に挑む「カナデビア」 COP29に初出展、新たな廃棄物処理システムと脱炭素技術を提案

セミナーで講演する桑原社長兼COO

 ごみ焼却発電施設や海水淡水化プラントなどの設計・製作を行う総合機械メーカー「カナデビア」(大阪市)は今年10月に、称号を「日立造船株式会社」から変更。「資源循環」「脱炭素化」「安全で豊かな街づくり」の3分野でグローバルに事業を展開している。11月11日から11月24日には、アゼルバイジャン共和国の首都バクーで開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の「ジャパン・パビリオン」に初出展した。

 同社は、「革新的な廃棄物処理システムで実現する循環経済と GHG 排出ネット・ゼロ」をテーマにしたブースで、廃棄物発電(ごみ焼却発電)・風力発電・海水淡水化・水電解・メタネーションなどの技術展示を実施。123の国・地域から大統領や閣僚など要人も含め1000人を超える来場者を集めた。来場者の中で、アフリカの訪問者からは、喫緊の課題としてごみ処理技術を求める声が上がった。また、同社の廃棄物焼却炉導入が決定したキルギスの訪問者からは、技術への信頼や、ごみ問題解決への大きな期待が寄せられるなどの反響を得た。

初出展したブースの様子

 世界の多くの地域で廃棄物を埋め立て処理しているのに対し、日本では廃棄物発電技術が進化している。CO2回収や、CO2と水素から「メタン」を合成し天然ガスの代替とするメタネーションなどの技術と組み合わせることで、循環経済と脱炭素に貢献することができる。このような中、COP29への初出展を通じて同社は、自社の技術や製品に世界からのニーズがあることを再認識したという。

 また、JEFMAによるセミナーでは、同社の桑原道社長兼COO氏が、「多様な廃棄物処理技術と CCUS で実現する資源循環」と題した講演を行った。

 講演で桑原氏は、同社が現在全世界で展開してる「廃棄物発電」(Waste to Energy、以下、WtE)プラント事業や、「資源・エネルギー変換」(Waste to X、以下、WtX)事業を紹介。資源・エネルギー変換について具体的には、「熱分解ガス化改質技術」「バイオメタネーション技術」「バイオエタノール技術」「二酸化炭素高濃度燃焼」を挙げた。さらに、日本国内最大の合成メタン製造の成功、英国進行中の大規模な水素燃料転換とCCSのプロジェクトなどに触れ、同社の二酸化炭素回収技術による世界での脱炭素化への貢献を紹介した。桑原氏は、「たゆまぬ技術革新により自然の恵みを生かし、支え、脅威に備えることを目指し、技術の力で、人類と自然の調和に挑んでいく」と語った。

ブースの展示品