カルチャー

「見返り美人ミク」 国立博物館の修理プロジェクト

「見返り美人ミク」東京国立博物館背景Ver. Art by Rella (C) CFM
「見返り美人ミク」東京国立博物館背景Ver. Art by Rella (C) CFM

 江戸時代の「見返り美人図」。鮮やかな濃い紅色の振り袖をまとった若い女性がふと振り返る一瞬を描いた、菱川師宣晩年の肉筆画だ。切手のデザインになったし、学校で習った記憶がある人も少なくないはず。その絵具の剥離(はくり)などを修理するのを前に、東京国立博物館と文化財活用センターは、修理費用を募る「踊る埴輪(はにわ)&見返り美人 修理プロジェクト」の一環として、「見返り美人ミク」をクリプトン・フューチャー・メディア(札幌市)と共同で制作、9月6日からコラボレーショングッズを発売する。

 江戸時代から有名な作品だった「見返り美人図」だが、桜の花など絵具の部分に、膠(にかわ)水溶液など天然の接着剤による剥落(はくらく)止めを行い、これ以上傷みが進まないよう保護する必要がある。また、巻いて収納する掛軸特有の折れや擦れという痛みもあり、さまざまな技法での修理を行うことになった。

 「見返り美人ミク」のキービジュアルは、この「見返り美人図」をモチーフに、紅色の鮮やかな振り袖をまとい、前髪を立てて元結で結ぶ「吹前髪」姿のミクが、ふと振り返る一瞬を描いている。振り袖の柄には桜と菊が円形にあしらわれた花丸模様が描かれ、帯は当時の人気役者の着こなしにちなんだ帯結び「吉弥(きちや)結び」と、江戸時代のファッションの流行が垣間見える。

 今回発表するグッズは12種類。キービジュアルに加えて、東京国立博物館本館の外観とゆりの木を背景にしたビジュアルから制作したグッズなどもある。同博物館のミュージアムショップや「見返り美人ミク オフィシャルECサイト」で買える。