カルチャー

4歳女児ファンが花束 井山裕太碁聖就位式

井山裕太碁聖(右)に花束を渡したファンの島倉佑奈ちゃん=東京都港区の第一ホテル。
井山裕太碁聖(右)に花束を渡したファンの島倉佑奈ちゃん=東京都港区の第一ホテル。

 小学生のプロ棋士が誕生するなど、子どもたちの間で人気が高まっている囲碁。囲碁を習う子ども棋士たちの憧れの的である井山裕太碁聖(33)の第47期碁聖就位式が9月20日、東京都内のホテルで開かれ、井山ファンの一人である4歳の島倉佑奈ちゃんが花束のプレゼンターとして登場し、会場を沸かせた。

 佑奈ちゃんは日本棋院のこども囲碁教室で囲碁を勉強中。井山碁聖を取り上げた本も読む、井山碁聖の大ファン。

 佑奈ちゃんは、4歳児には体の半分ぐらいある花束を抱えて、大好きな井山碁聖に手渡した。井山碁聖は笑顔で受け取り小さなプレゼンターにお礼を述べた。会場も大役を果たした佑奈ちゃんに大きな拍手を送った。

 井山碁聖は6~7月開かれた第47期碁聖5番勝負で一力遼棋聖(25)を3連勝で破り連覇に成功、8期目の碁聖を獲得した。現在、碁聖、名人、本因坊、王座の4冠。囲碁を習う子どもたちが憧れる棋士の一人だ。

 謝辞の中で井山碁聖は「これからも自分なりにベストを尽くして若い人たちと戦っていきたい」と述べ、若手棋士の台頭著しい囲碁界を改めて引っ張っていく覚悟を示した。
 式では、井山碁聖の今後の活躍に期待する声が相次いだ。

中国新聞社の岡畠鉄也社長からトロフィーを贈られた井山裕太碁聖(右)。
中国新聞社の岡畠鉄也社長からトロフィーを贈られた井山裕太碁聖(右)。

 碁聖戦を主催する新聞囲碁連盟を代表してあいさつした中国新聞社の岡畠鉄也社長は「井山碁聖は独創性あふれる棋風で、リスクを恐れず最強を貫く姿勢が多くの囲碁ファンを魅了している」とたたえ、「来期は3連覇、碁聖最多獲得数に並ぶ9期目の獲得がかかる。若手の台頭著しい囲碁界をこれからもリードし、第一人者として素晴らしい対局を披露し続けていただきたい」と話した。

日本棋院の小林覚理事長から允許状を贈られた井山裕太碁聖(右)。
日本棋院の小林覚理事長から允許状を贈られた井山裕太碁聖(右)。

 日本棋院の小林覚理事長は「小学生棋士が誕生し、囲碁界は変化している。小学生棋士は生身の棋士より人工知能(AI)を尊敬する。とても強い井山さんと対戦しても、びびらないだろう。だから井山さんにはこれからも強さを発揮してもらい、対戦を通じて若い棋士を育ててほしい」と語った。

 関西棋院の榊原史子常務理事は「強い井山さんは多くの子ども棋士たちの憧れ、目標。関西人としては、関西出身の井山さんは関西の誇り」と囲碁界を盛り立てる井山碁聖の貢献に感謝した。

あいさつする関西棋院の榊原史子常務理事(左)。
あいさつする関西棋院の榊原史子常務理事(左)。

 今回の碁聖5番勝負の第2局の立会人を務めた棋士仲間の山下敬吾9段は「第2局は激しい戦いだったが、最後は井山さんが読み勝った。読みは、若い人が一般的には有利。そんな中で、井山さんが、8つ年下の一力さんに読み勝ったのはすごい。若い棋士を相手にしても読み負けない力が、井山さんの素晴らしい成績を支えている。これからも若い棋士の成長を引き出す“壁”であってほしい」と語った。