カルチャー

泣けるカポーティ 未発表短編集の文庫化

『ここから世界が始まる トルーマン・カポーティ初期短篇集』
『ここから世界が始まる トルーマン・カポーティ初期短篇集』

 アメリカの作家トルーマン・カポーティが、思春期から20代初めにかけて書いた未発表短編14編からなる貴重な作品集、『ここから世界が始まる』文庫版(新潮社・東京)が9月28日に刊行される。解説はカポーティの人気作品『ティファニーで朝食を』の翻訳でも知られる村上春樹さんが寄稿している。

 差別の激しい土地に生まれ、同性愛者として長じ、「八歳で作家になった」と豪語したというカポーティ。高校の文芸誌に掲載した7作品を含め、米・ニューヨーク公共図書館が秘蔵する貴重な未刊行作品を厳選した14編。ホームレス、老女、寂しい子どもなど、社会の外縁にいる者に共感した著者の、物語を練り上げる手腕を堪能できる選集だ。税別550円。