カルチャー

みんなが知らない日本のご当地グルメ 高知東部の“ゆのす” “どろめ”が、うまいぜよ!

 

 高知のグルメと言えば、県魚である「カツオのたたき」や、大皿に山の幸と海の幸を贅沢(ぜいたく)に盛り付けた食文化の「皿鉢(さわち)料理」が有名だが、まだまだ知られていないおいしいものがある。高知県東部観光協議会の高知県東部食プロジェクトが、大阪・難波に1日限りのポップアップ食堂を出展。同プロジェクトを担当する國則亜衣さんに、西は芸西(げいせい)村、東は東洋(とうよう)町までの高知東部エリアのご当地グルメを聞いた。

高知県東部観光協議会の國則亜衣さん
高知県東部観光協議会の國則亜衣さん
「FOOD TREASURE from ひがしこうち」の看板
「FOOD TREASURE from ひがしこうち」の看板

 ユズ王国の「ゆのす」文化

 ユズ生産量日本一の高知県。高知東部の北側に位置する馬路村のユズ加工品が比較的有名だが、ユズ文化の全容は知られていない。高知東部の食文化を代表するのが、ユズを搾った果汁「ゆのす」。地元の食卓に欠かせない調味料だ。
 「しょうゆ差しの隣にあるくらい、よくかけるんですよ。ぶっかけうどんとかにもかけますし、から揚げにちょんと付けたり。レモンみたいな感覚で使っています。酢の物はもちろん、酢飯には絶対にユズを入れます」。
 県内でも1位の産地に当たる高知東部では、地区によって「濃い」「酸っぱい」といった「ゆのす」の味の違いもある。ちなみに名前の由来は、ユズの古称「ゆのす」。高知県出身の植物学者・牧野富太郎が命名した学術名も「Citrus junos(シトラス・ユノス)」だ。
 「この地域はユズの農家さんがめちゃくちゃ多いんです。収穫の時期には、ユズ搾りの工場から香りが町中に広がる。そのくらい身近な食材なんですけど、まだまだ注目を浴びていない」と残念そうにした。

瓶入りの「ゆのす」〔写真提供:(一社)高知県東部観光協議会〕
瓶入りの「ゆのす」〔写真提供:(一社)高知県東部観光協議会〕

 鮮度抜群の生しらすを食す「どろめ丼」

 安芸市は、漁港の漁獲量の8割がしらすといわれるほど、しらす漁が盛ん。年間を通して漁獲されるが、秋から4月にかけてが収穫の最盛期だ。安芸市出身の國則さんは、「家から漁をする船が見える。パッチ漁といって、網がズボン(パッチ)みたいな形をしていて、それを2隻で引っ張る特殊な技法で釣っている」と説明した。

安芸漁港に水揚げされたしらす 〔写真提供:(一社)高知県東部観光協議会〕
安芸漁港に水揚げされたしらす 〔写真提供:(一社)高知県東部観光協議会〕

 漁港に揚がった新鮮な生しらすを、土佐弁では「どろめ」と呼ぶ。「多分どろっとしているところから来ていると思う。揚げたてほどねっとりしていて、それが新鮮な証拠」。口に入れると、「刺さるぐらいにピチピチしています。固めというか、張りがある」と食感を説明した。
 この生しらすをゆでたものが、「釜揚げちりめん」だ。どこで食べても同じと思うかもしれないが、國則さんは地元産のしらすは、特に「ふわふわ」だという。
 これらを炊き立てのご飯にたっぷりとのせ、ノリや大根おろし、ゴマなどの薬味を加え、高知県産のユズを使ったポン酢を掛けて食べるのが安芸市名物の「どろめ(生しらす)丼」や「釜揚げちりめん丼」だ。

釜揚げちりめんと生しらすをたっぷりのせた丼
釜揚げちりめんと生しらすをたっぷりのせた丼

 土佐備長炭を使った「漆黒のメニュー」

 暖かい海岸部から山の斜面に生える、カシ科のウバメガシを炭材として使用。紀州の製炭技術に改良を加え、大きな窯で大量に焼けるようになったのが土佐備長炭だ。その技術が高知東部に広がっている。
 室戸市にある備長炭の窯元は、炭を使った新メニューの開発に取り組み、居酒屋やグランピング施設で提供している。
 「炭をパウダーにしたものを麺に練り込んだり、近くの商店街にある昔ながらのパン屋さんとコラボして食パンを作ったり。炭を使ったソーセージもある」。

炭カルボナーラ 〔写真提供:(一社)高知県東部観光協議会〕
炭カルボナーラ 〔写真提供:(一社)高知県東部観光協議会〕

 ポップアップ食堂では、飲料水のグラスに食用備長炭の液体を注ぐサービスも。みるみるコップの中が漆黒に染まっていった。
 「これでも無味無臭。大事なものは体の中に残し、要らないものを排泄物として出してくれる。デトックスが期待されています」。

炭を注いだグラス。真っ黒だが、飲むと確かに無味無臭だ
炭を注いだグラス。真っ黒だが、飲むと確かに無味無臭だ

 地元水族館とコラボ、旬のサバを楽しむ「サバらしい日々」

 地元で揚がった旬のサバをもっと食べてもらおうと、高知県東部食プロジェクトが立ち上げた企画「サバらしい日々」は、今年で4回目を迎える。
 「ユニコーンの『すばらしい日々』とかけてるんです。今年も室戸市で開催します。今日さばいたサバも朝獲れで、身がもうパンパンでした。そういう旬のサバをその場で食べられるのは、とても魅力だと思います」。
 期間中、参加飲食店が室戸産のサバ料理を1食1000円で提供。現金でも食事できるが、むろと廃校水族館で、飲食店や観光施設で使える1000円のチケットを3枚・8枚・10枚セットで購入すると、各々手拭いやTシャツ、ぬいぐるみがもらえる。「サバらしい日々」は3月8日(水)まで。

「サバらしい日々」の手拭いとぬいぐるみ 〔写真提供:(一社)高知県東部観光協議会〕
「サバらしい日々」の手拭いとぬいぐるみ 〔写真提供:(一社)高知県東部観光協議会〕
室戸市で昔から食べられている「寒サバのすき焼き」
室戸市で昔から食べられている「寒サバのすき焼き」