食べ物に地域の名産があるように、香りにも地域ごとの違いや特徴がある。それぞれの地域で愛される良い香りをもっとたくさんの人に伝えたい、日本各地の魅力を知って身近に感じてほしいとの願いから、ノルコーポレーション (東京)の新フレグランスブランド「香る日本」が今月、スタートする。香料に日本の精油100%を使用したルームミスト「香る日本 ルームミスト」(105ml、税込み1870円)を発売する。
「檜(ひのき)/京都府 福知山産」は、かんきつのような爽やかさの中に、ヒノキ特有のウッディさとほんのりとグリーンを感じる香りを楽しめる。降雪を伴う寒暖差の激しい福知山の気候の中で育つヒノキから抽出される精油は、温暖な地域のヒノキ精油よりも洗練された香り立ちになるのが特徴。生産者は「農薬などの化学物質や不純物の混ざらない、ピュアでオーガニックな品質を保てるように日々努力しています。人工的につくられたアロマオイルが多い中、“純京都産”精油の“ほんまもん”の香り、そして素材のもつパワーを感じてもらえれば」とコメントしている。
「柚子(ゆず)/高知県 土佐山産」は、豊かな甘さと柔らかい酸味の中にほんのりと苦味が残る、“日本のユズ”をしっかりと感じさせる香りが特徴。ユズの生産量が全国1位の高知県の中でも、鏡川の源流域に位置し、土地の94%を森林が占める土佐山地区で育ったのがこのユズ。寒暖差の大きい気候と、程よい日当たり、水はけのよい急勾配の土地で育てられ、大きな実となる。生産者は「平地へ植えたら収穫は楽になりますが、土地が変わると味や香りにも影響する懸念があるため、昔からこの土地でユズを育ててきました。新たな植樹は行わず昔からある樹木で土佐山産のユズを絶やすことなく、元気で大きな実をつけるよう管理しています」としている。
そして、「薄荷/北海道 滝上町産」。この土地で育てられたハッカ「JM23号」は、世界でここでしか栽培されていない希少な品種。洋種(ブラックミント)を掛け合わせたことで、和種ならではの爽快なメントールの中に甘さに満ちた奥深い香りが特徴。滝上町の和薄荷は、雪解けを待って春から晩夏の間にじっくりと育て上げられ、収穫までの工程のほとんどを手作業で行う。生産者は、「希少作物が故に、ほとんどの工程を手作業で行わなければならないという、苦労の絶えない植物ですが、私たち生産者の手と心がこもっています。日本一の滝上和薄荷を、1人でも多くの方々に、さまざまな形で長く愛用していただければ」としている。
「香る日本」では、生産者の方々・土地に直接触れ合う中でスタッフが体験し、感じたことを余すことなく商品開発に活かし、香りを通して全国へ発信していくという。香りを通して、人を知り、土地を知り、さまざまなことを感じ取る中で、土地への興味や安心感、はたまたその土地が抱える課題も見えてくるかもしれない。