基礎の習得から無我の境地まで、人の成長には5つの段階があるという。その階段を上るのに年齢は関係ない。貴重な経験と深い内省、さまざまな分野の賢人たちとの対話、エッセンスの詰まった“人生を極める“ためのバイブルが登場する。
7月13日(木)に新潮社から刊行される為末大氏の『熟達論――人はいつまでも学び、成長できる』。スプリント種目の世界大会(世界陸上)で日本人初のメダルを獲得(計2回獲得)、3度のオリンピックに出場、いまだ破られていない男子400mハードルの日本記録――。優れた成績を残しながら、あくなき探求心から「走る哲学者」の異名も持つレジェンド・為末大氏が、「自分が生涯で一冊書くとしたらテーマはなんだろう。そう考えたとき、思い浮かんだのがこの本だった」という。
将棋の羽生善治氏、囲碁の井山裕太氏、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授、車椅子テニスの国枝慎吾選手、ワールドバリスタチャンピオンの井崎英典氏、ラグビーのエディー・ジョーンズ監督、臨済宗円覚寺派管長の横田南嶺老師といった著名人や優れた技術を持った人たちに話を聞き、どんな学習プロセスだったのかを学ぶうちに、為末さんはいくつもの共通点に気付く。ジャンルを超えたさまざまな達人たちの学びの軌跡が交差したところに、本作が生まれた。
目次は、「序 熟達の道を歩むとは」「第一段階 遊 不規則さを身につける」「第二段階 型 無意識にできるようになる」「第三段階 観 部分、関係、構造がわかる」「第四段階 心 中心をつかみ自在になる」「第五段階 空 我を忘れる」。単なる習得でも上達でもない「熟達」とは何か。人生全般に通じるエッセンスを深く考察し分かりやすくつづっている。四六判ハードカバー、税込み1980円。