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超絶技巧で疾走するユニゾン 【山崎あみ コラム音楽の森】

 「UNISON SQUARE GARDEN」(略称ユニゾン)は、天才3人がよくぞ出会ってくれましたと、奇跡に感謝したくなるような3ピース・ロックバンドです。結成は2004年、ギター&ボーカルは斎藤宏介さん、ベースは田淵智也さん、ドラムは鈴木貴雄さんで、全員38歳。演奏・歌唱スキルが素晴らしく高く、それぞれの個性も際立っていて、目が離せません。「TIGER & BUNNY」など人気アニメのテーマ曲を多数手がけているのも特徴です。

UNISON SQUARE GARDEN

 作詞作曲は、基本的に田淵さんが担当していて、彼はLiSAさんなどのアニソンシンガーにも楽曲を提供しています。実際に提供を受けた歌手の方に聞いたのですが、田淵さんの作る曲には、息継ぎのタイミングや、どうしたらちゃんと口が回るかなどを、考えないと歌えないほどのスピードと難しさがあるそうです。でも、だからこそ唯一無二の疾走感とパワフルさが出るのだろうと思います。

 一流ボーカリストの方々が、歌うだけでも難しいと言う曲を、ユニゾンの斎藤さんは、ハイレベルなギター演奏をしながら、後ろでゴリゴリに鳴っているベースとドラムの音に全く負けない声量で、歌いこなしているのです。しかも、例えば「カオスが極まる」(アニメ「ブルーロック」オープニング主題歌)のような、ギターと歌のリズムが全く異なる曲でも、さらには足元でペダルを使っていても、涼しい顔で歌います。これはもう、ランニングマシンの速度をマックスにして走りながら、手ではジャグリング、口ではハーモニカを吹いているような難易度です。大げさではなく。

 そんなマルチタスクで大変な斎藤さんの隣で、ベースの田淵さんは通常、ステージの上を暴れ回っています(笑)。サポートボーカルも担っているのですが、暴れ回りすぎてマイク前まで間に合わない時があるほど。それでいながら彼もまた、高い技術が必要な演奏をしています。この2人のバランスを取っているのがドラムの鈴木さんなのですが、ソロパートになると、覚醒したかのように、たたきまくってくれます。

 ライブでMCをする時間はかなり少なく、ほぼ休憩なしで、怒濤(どとう)のパフォーマンスを展開します。イントロ冒頭から全速力の曲が多く、3人の呼吸が少しでもズレたら崩れてしまうにもかかわらずです。斎藤さんは、私のラジオ番組に出演してくださった時、「ライブをするバンドです」とおっしゃいました。難曲を次々繰り出すスリルも楽しんでほしいということですね。ぜひ、ユニゾンのライブに足を運んでみてください。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 49からの転載】

まるでアニメ世界 「=LOVE」 【山崎あみ コラム音楽の森】 画像2

山崎あみ(やまざき・あみ)/1997年生まれ、東京都出身。音楽大卒。interfm「MUSIClock」(略称みゅじろく。月―木曜午前7時~8時50分)メインDJ。ポッドキャスト番組「山崎あみ『うるおう』リコメンド」(うるりこ。金曜更新。共同通信社制作)出演中。