まめ学

卵アレルギーの食卓に光明 オボムコイド含まない卵の安全性を確認

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 アレルギーがあって食べられないものがある人は少なくない。例えば卵。その主要なアレルゲンである「オボムコイド」を含まない鶏卵の安全性が世界で初めて確認されたという。キユーピーと広島大学の共同研究で、学術誌『Food and Chemical Toxicology』2023年5月号に掲載された。

 食物アレルギーの症状を持つ人の割合は、2歳までが全体の約55%、11歳までが約90%で、原因食物は鶏卵が最も多く(約33%)、牛乳、木の実類、小麦がこれに続いている。鶏卵のアレルゲンとなる物質は、卵白に含まれるタンパク質(オボアルブミン、オボトランスフェリン、オボムコイド、オボムチン、リゾチームなど)だが、オボムコイド以外のタンパク質は熱に弱いため、十分に加熱すればアレルゲン性が低下する。だが、オボムコイドは熱にも消化酵素にも強いため、加熱調理や消化酵素を用いた加工を施してもアレルゲン性が失われることがないのだという。

 研究の成果として生まれた、オボムコイドを含まないアレルギー低減卵は、ゲノム編集技術により、鶏の受精卵のオボムコイド遺伝子の働きを狙って止め、その後ふ化した鶏が成長し、交配・産卵することで作られる。このアレルギー低減卵には、オボムコイドも副産物も含まれていないことが証明されたほか、ゲノム編集による別の遺伝子の挿入や、ほかの遺伝子への影響もなく、安全性が確認できたのだそうだ。