自然災害の被災地にある文化財。復興の過程では、被災資料の保護や修理は大きな課題の一つだ。学芸員や専門家の解説とともに展覧会の魅力を発信するオンライン・ギャラリートーク企画番組「ニコニコ美術館」(ドワンゴ・東京)では3月3日19時から、特別番組をライブ配信する。テーマは、東日本大震災の壊滅的被害から2022年11月に再開館し、現在も被災した資料の安全化処理と修理を続ける岩手県・陸前高田市立博物館の「文化財レスキュー」とした。
文化財レスキューは、被災した美術品や工芸品を安全な場所に移送し、劣化要因を取り除く処置をする取り組み。陸前高田市立博物館は、東日本大震災で施設が全壊、資料も壊滅的な被害を受けた。被災資料は、全国の専門機関の協力で約56万点のうち約46万点を救出。今も安定化処理と修理作業を続けている。施設は、やはり震災で壊滅的な被害を受けた「海と貝のミュージアム」と合築して新設した。
能登半島地震が発生したエリアは、輪島塗に代表される伝統工芸品や歴史的建造物など、平安時代から続く文化が継承されているが、震災で貴重な文化財の多くが被害を受けている。これらを救出するべく、文化財レスキューの活動も本格化している。番組では、陸前高田市博物館の経験を視聴者と共に学びながら、貴重な文化の未来への継承について考える。ライブ配信の視聴は、3月3日19時ニコニコ美術館。