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【スピリチュアル・ビートルズ】 動物に魂はあるのだろうか 菜食主義者としてのビートルたち

10132007235 ビートルズの4人のうち、少なくとも3人が菜食主義者(ベジタリアン)あるいはそれに準ずる食生活を送っていることが知られている。

 中でももっとも有名なのがポール・マッカートニーの菜食主義だろう。一週間のうち肉を食べない日をつくろうという「ミート・フリー・マンディ」を提唱したのも彼だ。

 きっかけは70年代初め、羊に囲まれて羊肉を食べている時に生じた「違和感」だったという。こんなかわいい羊たちが自分たちに寄ってきているのに、よりによって彼らの仲間の肉を食べているなんて、という単純な気持ちだったようだ。

 米インターネット新聞「ハフィントン・ポスト」によれば、菜食主義は非常に多くのことに関係してくるとポールはみている。エコロジー(生態学)、飢餓、残忍性(cruelty)といったことである。

 次第に考え方を深めていったポールは、菜食主義とはかわいそうな動物を助けるということではなく、人生の精神面を変えることだと思い至ったようだ。

 そして動物には魂があるのではないかとも考えているという。

 これには異論もあるかもしれない。しかし、魂や心をもっているかどうかはともかく、動物も植物も命であることには変わりない。ポールは、人間は地球上での競争を勝ちぬいてきたとしても、その人間の「成功」は必ずしも「崇高さ」を意味するわけではなく、今や「良き勝者」であらねばならないと説いているのだ。

 人間は、動物であれ植物であれ、他の命を奪って食べることなくして、自ら生きることは出来ない。その点で謙虚であらねばならないということなのだろう。そして、万物は神が創造し人間が自然を支配してもよいというような考え方とは相容れないかもしれないが、人間も大いなる自然の一部にしかすぎないのである。

 私がここで思い出すのは手塚治虫氏の漫画「ブッダ」の中の一場面だ。飢饉で動物たちが飢えに苦しんでいるとき、あるウサギが自らたき火の中に飛び込んでいって、他の肉食動物のために自らの体を「肉」として捧げるという場面だ。

10367005604 一方、ジョン・レノンと妻オノ・ヨーコは、「マクロビオティック」(macrobiotic)という自然食の食事法を実践していたことで知られる。タンパク質や脂肪を減らし、穀類や野菜を中心とした食事のことである。マクロビオティックは「禅式長寿法」と訳されることもあるぐらいで、日本人であるヨーコがジョンに勧めたものとみられる。

 ジョンは生前、語っていた。甘いもの、ハンバーガー、甘いもの、ハンバーガーといった食事の繰り返しは私たちの心身をおかしくしてしまう、と。だから、「主夫」として、2人の間の息子ショーンの食事にはことのほか気を配っていたという。

 リンゴ・スターは、バラエティ誌の2014年1月28日号でのインタビューで、「菜食主義者であることが健康の秘訣だ」と語った。

 遡ること70年代初め、リンゴは次のように話していた。インドの宗教家マハリシ・マヘギ・ヨギに教えを乞う前に「ぼくが理解できなかったことのひとつは、なぜ我々は、『自然』と『動物』を同次元でとらえることが出来ないのだろうか、ということでした。ぼくはすべてがひとつの力によって支配されていると信じています」(「ミュージック・ライフ」72年2月号)。

 エコロジー(生態学)に凝っているのかと問われ、リンゴは「その通りです。エコロジーは僕たちに必要なことです。全宇宙の力をひとつにすることが大切で、木も花もそれぞれ目的を持って存在しているのであり、人間と草木も互助の精神のうえに成り立つということを(マハリシに)教わりました」。

 ジョージ・ハリスンが菜食主義者だったかどうかは定かではない。しかし、大量生産・大量消費型の食品ビジネスには批判的だった。

 ジョージは89年に発表した「コッカマミー・ビジネス」という曲の中で次のように歌っている。「マクドナルドやバーガーキングのために、あくまでも牛を食べるということに、反論はないようだ。この怪しげなインチキ稼業では」と。

 「コッカマミー」(cockamamie)とは「低級な」、「ばかばかしい」、「出来の悪い」とかいう言葉で良い意味はない。

(文・桑原 亘之介)

桑原亘之介

kuwabara.konosuke

1963年 東京都生まれ。ビートルズを初めて聴き、ファンになってから40年近くになる。時が経っても彼らの歌たちの輝きは衰えるどころか、ますます光を放ち、人生の大きな支えであり続けている。誤解を恐れずにいえば、私にとってビートルズとは「宗教」のようなものなのである。それは、幸せなときも、辛く涙したいときでも、いつでも心にあり、人生の道標であり、指針であり、心のよりどころであり、目標であり続けているからだ。
 本コラムは、ビートルズそして4人のビートルたちが宗教や神や信仰や真理や愛などについてどうとらえていたのかを考え、そこから何かを学べないかというささやかな試みである。時にはニュースなビートルズ、エッチなビートルズ?もお届けしたい。