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尾上松也「悪役はやりがいがある」ドリームワークスのアニメーションで怪盗チームのリーダーを好演! 『バッドガイズ』【インタビュー】

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-怪盗チームのバッドガイズは、犯罪者として警察から追われる身ですが、どのキャラクターも愛らしく、人間味にあふれています。松也さん自身も、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」や「やんごとなき一族」(22)などの実写作品で悪役を演じていますが、いずれも憎み切れない魅力がある点はバッドガイズに通じる気がします。松也さんが考える悪役の魅力とは何でしょうか。

 役者の中には「悪役の方が楽しい」という方がたくさんいますが、僕も同意見です。なぜかというと、悪役の方が人間らしいからなんです。みんな普段は、理性や道徳心がありますので悪いことをしませんけど、「何でもあり」になったら、平気で悪いことをすると思うんです。人間の中にはもともと何かしらの「悪」が潜んでいますよね。それを解放できるのが悪役なのではないかと。いろいろな背景やいろいろなお役がありますので、一概には言えないところもありますが。ですが、そんなふうに人間が持つ「悪」を気にせず解放できるので、悪役は楽しいですし、やりがいがある。同時に、なぜそんなことをするのか考えてみると、実はいろいろな悩みを抱えていたりして、深みもある。ですので、悪役はとてもやりがいがあります。

-その辺は、ミスター・ウルフに通じる部分もありそうですね。

 そうですね。ミスター・ウルフは極悪人というほどではありませんが、その両面を持っていますので、とても魅力的な役だと思います。

-声だけでなく、人柄や考え方も含め、松也さんがミスター・ウルフにぴったりだということがよく分かりました。それでは最後に、この作品の見どころとして、印象に残ったシーンを教えてください。

 ウルフが仲間のスネークに、「嫌われ者じゃない俺たち、想像したことある?」と聞くシーンが、とても切なかったです。普段は「俺たちはバッドガイズだぜ!」とカッコをつけていても、実はその裏には「好かれたい」「愛されたい」という気持ちがある。本当は違うのに、周りからレッテルを貼られたことに対して、自分のプライドや意地もあり、その通りに振る舞ってしまう。でも本当は「こうありたいんだ」と。そんな経験って、問題の大小を問わず、誰にでもあると思います。そういう、誰もが抱える悩みを描いているところは、とても切なくて印象的ですし、考えさせられますよね。

-アクションやユーモアに注目が集まる本作で、そのシーンを選んだ理由は?

 アクションシーンやテンポのよさ、華やかな演出が見どころなのは言うまでもありません。ですが、ドリームワークスのアニメーションは毎回、ふと立ち止まって考えさせるような深みがあるんです。それが大きな魅力でもあるので、『バッドガイズ』もぜひ、そういうところに注目していただきたいです。

(取材・文・写真/井上健一)

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