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市川実日子、俳優業のこだわりを語る 「私の喜びの大半を占めているのは、人とものを作ること」【インタビュー】

 市川実日子が主演するドラマ「A table!(ア・ターブル)~歴史のレシピを作ってたべる~」がBS松竹東急で放送中だ。本作は、歴史料理研究家・遠藤雅司の著書『歴メシ!決定版 歴史料理をおいしく食べる』が原作。吉祥寺で暮らす、結婚してから長い時間を過ごしてきた夫婦が、身近な食材で歴史に残るレシピの再現を試みようと「歴メシ」を始め、世界の歴史に思いを巡らせ、不思議な時間軸を哲学チックに考える物語。本作の主人公で、大学の学部内の事務員をしているジュンを市川が、夫のヨシヲを中島歩が演じる。市川にドラマの見どころや市川家に伝わる“歴メシ”、今年の抱負や、仕事をする上で大切にしていることなどを聞いた。

「A table!(ア・ターブル)~歴史のレシピを作ってたべる~」(C)BS松竹東急

-本作は、歴史上の人物が食した料理を再現する「歴メシ」がテーマとなっていますが、最初に話を聞いたときの気持ちはいかがでしたか。

 原作本の『歴メシ』の本を、発売された頃に偶然本屋さんで見つけて、興味を持っていました。あっ、あの本のドラマなんだ、面白そうだなと一番最初に思いました。

-台本を読んだ感想を教えてください。

 「歴メシ」自体がやっぱり興味深いものでしたが、歴史のごはんを作ることによって、現代まで 脈々とつながっている「時間」を感じられたり、ジュンの生きてきた「時間」や、ジュンとヨシヲ夫婦の「時間」だったり、「時間」というものを、いろんな角度で感じられる作品だなと思いました。私が演じるジュンは40代で、それなりに時間を経てきた女性なのですが、一緒に散歩しているヨシヲが、道に咲いている草花を見て「いつもこの時期に、ここに咲いてる。前に見たときのことを思い出すんだよね」ということをふと言ったりする。そういうことを感じられる夫婦であると思ったのと同時に、こういう時間の表現がある作品というのが、うれしかったです。

-ジュンという役柄をどのように捉えて演じましたか。

 台本はたくさん余白があるものだったのですが、監督に伺うと、なるべくリアルに、ドキュメンタリーに近いものにしたいとおっしゃっていて、役も私自身になるべく近づけてくださいとのことでした。本番中にその場で感じたことを素直に出すことを心掛けましたが、せりふや台本の流れもあるのと、役と私自身の感じ方の違いも多くあったので、そのバランスを取るのはとても難しかったです。

-共演の中島さんは、市川さんが撮影時に楽しくて、「中学生時代に戻ったような毎日だった」というコメントを出していましたが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。

 中島さんもそんな感じの方でした(笑)。人と人って、役だけではなくて、お話をするときなどの相性があると思いますが、私と中島さんの相性が中学生同士のような楽しい感じだったのかなと思います。撮影のときにテストをほぼしない監督だったので、2人で本番中に撮影を重ねながらだんだん空気感が出来上がってきて、一話二話と進むにつれて親友のような、姉弟のような夫婦になっていきました。

-劇中にはマリー・アントワネットが食べた料理など、さまざまな「歴メシ」が登場しますが、プライベートでも作ってみたいと思う「歴メシ」はありましたか。

 レオナルド・ダビンチが食べていた「イチジクの温製サラダ」「インゲン豆のミネストラ」「鶏肉ソテーの教皇風」です。調味料が、塩とハーブでシンプルなので、素材の香りと食感のハーモニーが感じられます。撮影で食べているときから絶対にもう一度家で作りたいと思っていました。私は塩が好きなので、塩味好きにはお薦めです。歴メシを作っていると、砂糖がまだない時代はドライフルーツを使って甘みを出したりしていて、想像力と好奇心の湧くものが多くありました。