4月6日からBS-TBSで毎週木曜午後11時「僕らの食卓」(全10話)が放送開始となる。人と食事をとるのが苦手な会社員・穂積豊(ほづみ・ゆたか)と、幼い弟・種(たね/前山くうが)の世話をしながら暮らす上田穣(うえだ・みのる)が出会い、共に食卓を囲む中で距離を縮めていく「食と家族のハートフルドラマ」だ。原作はe book japanの「BL読者が選ぶBLアワード2018」の第3位に選出された三田織の人気コミック。温かなドラマが幅広い層から支持されている。本作でダブル主演を務めるのは、注目の若手俳優、犬飼貴丈と飯島寛騎。放送開始を前に、撮影の舞台裏を語ってくれた。
-お二人の共演は『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』(17)以来2度目だそうですが、改めて共演してみて、互いの印象が変わった部分はありましたか。
犬飼 実は前回は、一緒にお芝居をする場面がすごく少なかったんです。だから、お互いを深く知る時間もなくて。今回一緒にやってみて、飯島くんはいい意味で寡黙というか、余計なことを言わないスマートな大人なんだなと気付きました。
飯島 僕が待ち時間に大塚愛さんの曲を流していたら、犬飼さんが「懐かしい。めっちゃ好きだったこれ」って乗ってきたんです。それをきっかけに、音楽や漫画など、好きなジャンルがよく似ていることが分かりました。あと、今回は撮影が犬飼さんの地元の徳島だったので、おいしいラーメン屋さんを教えてもらって。
犬飼 ご当地ラーメンの店がいっぱいあるんです。
飯島 全部は回れないので、犬飼さんの頭の中のデータベース“犬ログ” (笑)に登録されているお薦めの店に行ってきました。おいしかったです。
犬飼 撮影終わりで食事に行けたのもよかったね。「食卓」というタイトルで、食事がテーマの作品だから、一度も食事をせずに撮影するのはちょっと…と思っていたので。
-だいぶ関係を深めたようですね。続いて、それぞれが演じた豊と穣について教えてください。共感した部分などありますか。
犬飼 豊は、過去に痛みを伴う経験をしたことが原因で、人に対して踏み込んでいくことができないんです。だから、「なるべく自分が傷つかず、他人も傷つけずに生きていきたい」と思って1人で食事をとっている。でも、その根底には、人に対する思いやりの気持ちや優しさがあるんです。その優しさは、僕も見習いたいと思いました。
飯島 母親を亡くした穣は、自分だけでなく、幼い弟・種の面倒も見なければいけないので、学校を休学してバイトまでしているんです。普通だったらキャパオーバーで、投げだしたくなってもおかしくない。でも、弱音を吐かずに毎日を過ごしている。そこにあるのは、家族への愛なんですよね。それがすごくかっこいいなと。
-そんな豊と穣のラブストーリーを想像していましたが、「恋愛」というよりも「大切な人に対する思い」に重点を置いていたのが印象的でした。その点、恋愛に限らず、誰にでもある感情を描いた物語なので、原作同様、ドラマも広く支持されそうな気がします。お二人が台本を読んだときの感想はいかがでしたか。
飯島 最初は僕も、お互いを好きになっていく過程がもっと分かりやすく描かれているのかと思っていたんです。でも、台本を読んでみたら、そうじゃなかった。何かきっかけがあっていきなりテンションが上がるのではなく、いろんな感情が少しずつ積み重なった結果、「好き」という気持ちが芽生えていく。そんなふうに、感情の流れが自然な感じで書かれていたので、違和感なくお芝居をすることができました。
犬飼 台本自体に、すごく温かな感情が流れていたんですよね。それを大切にしながら演じた結果、大切な相手に対する愛がゆっくりと深まっていく様子が、自然と表現できたんじゃないかと思います。
-芝居する上で、難しさはありませんでしたか。
犬飼 繊細なお芝居が多かったので、その辺のバランスは難しかったな。
飯島 豊が言いづらそうにしているときは、それを察した穣が先に言う、みたいな心のくみ取り方は、ちょっと難しかったです。「いつ言えばいい?」みたいな微妙な空気になるときって、普段の生活でもあるじゃないですか? 気まずいときもあれば、楽しいときもあるし…。そういうところがすごく繊細でした。
犬飼 ただ、飯島くんや監督たちが緻密に考えてくださったので、すごく助かりました。僕はその流れに身を任せればよかったから。本読みの段階でも、監督が「こうしたい」というビジョンを丁寧に伝えてくれたので、「監督を信じれば大丈夫」と思えたし。僕1人だったら、とても無理だったと思う。
飯島 穣は、いくつかポイントになる行動があるんだよね。だから、監督と相談しながら、序盤からそこに向けた意識を「ここはこのぐらいかな」と、さりげなく上げていくことを心掛けた感じですね。