カルチャー

戦後の世界を生きる少女 角野栄子さんの自伝的物語

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 すべての価値観が変わった戦後の激動の時代に、不安すら好奇心に変え、前向きに生きる少女イコの姿を描いた『イコ トラベリング 1948-』(角野栄子著、KADOKAWA)が発売された。著者が初めて戦争をテーマに執筆した『トンネルの森 1945』に続く自伝的物語。

 1948年。中学2年になった主人公イコの周囲には、やけどを負った同級生や傷痍軍人の物乞いなど、いまだに戦争の傷痕が多く残されていた。母を早くに亡くし、不安を抱えながら生きるイコは、英語の授業で習った「現在進行形」に夢中になる。変わっていく価値観に戸惑いながら、いつかどこかへ一人で行きたいと願いながら大学へ。そしてある日、大きなチャンスが巡ってくる。87歳の著者が、“現在進行形”で執筆した一冊。 税込み1,650円。 

角野栄子(かどの・えいこ) 撮影/馬場わかな
角野栄子(かどの・えいこ)
撮影/馬場わかな