カルチャー

『世界の終わり防衛マニュアル図鑑』 さまざまな危機に備えた各国の啓発資料集

『世界の終わり防衛マニュアル図鑑 自然災害・核戦争・宇宙人侵略に備えた各国の啓発資料集』
『世界の終わり防衛マニュアル図鑑
自然災害・核戦争・宇宙人侵略に備えた各国の啓発資料集』

 ミサイルが北朝鮮から発射されて全国瞬時警報システム(Jアラート)の発出を知らせる警報音が鳴り、「もしかして日本の上空に飛来してる?」と背筋が寒くなったのは今月初め。もっとも具体的にどうすればいいのか分からず、仮に本当に飛来していたとして、せいぜい地下鉄の駅に下りていくか、自宅やオフィスに立てこもるぐらいしか思いつかないという人がほとんどだった。戦争を含め未曽有の危機に対して、各国政府は今までどのように情報を発信してきたかをまとめた『世界の終わり防衛マニュアル図鑑 自然災害・核戦争・宇宙人侵略に備えた各国の啓発資料集』(タラス・ヤング著、日経ナショナル ジオグラフィック・東京)が発売された。プロパガンダ・アートとしての防災・防衛資料の変遷をたどることができる、異色の図鑑だ。

 パンデミックや自然災害、核戦争、宇宙人の侵略まで視野に入れ、各国政府が準備した宣伝ポスターやマニュアルの進化を、豊富な資料で知ることができるビジュアルブックだ。20世紀以降、さまざまな災害にかかわる情報や、危険から身を守る方法を、政府や公的機関が積極的に国民に周知するようになり、印刷、放送、そしてインターネットへとメディアの変遷や識字率の向上に合わせ、内容も進化してきた。社会体制によって、目指すべき防災・防衛の形が異なっている点、表現方法や優先順位の違いがどのように表れているかにも注目している。税込み4,950円。