小学生が自らプログラミングして制作したアプリやゲーム、ロボットなどの作品を披露する「2023年度全国選抜小学生プログラミング大会」(全国新聞社事業協議会主催)の全国大会が3月3日、東京都内で開かれた。最優秀のグランプリ(文部科学大臣賞)には、生成人工知能(AI)を使いさまざまな場面で会話を楽しむことができるアプリを制作した宮崎県代表の上田蒼大(そうた)さん(宮崎市立江平小5年)が輝いた。
この日の全国大会には、1034組の応募の中から、46の各都道府県大会(予選)を勝ち抜いた46組55人が出場。作品のテーマは、少子高齢化対策や食品ロス削減、動物と共生する社会の実現、世界平和の追求、交通事故防止、交通渋滞解消、認知症対策などの社会課題が多かった。各出場者は約3分間、作品をモニターで紹介しながら、作品の制作意図や制作上の工夫・苦労などを説明した。
グランプリを受賞した上田さんのアプリ「Be Free」はAIの音声会話機能を活用。このアプリの利用者は、まちで食事する場合などの生活場面で使えるAI提示のたくさんのセリフの中から、その場に適したものを選び、AI音声で相手と会話を楽しめる。特定の状況で声が出せなくなる症状を抱える上田さんが「自由に会話を楽しみたい」との思いで開発した。
上田さんはアプリの内容説明や審査員との質疑応答、受賞後の喜びの表明もすべてAIの音声を介して行った。「会話する生成AIは僕にとっては“希望”。僕を支えてくれた皆さん、本当にありがとうございました。これからも頑張ります」などと自身の思いを披露した。
審査員長の平井聡一郎氏は「上田さんと同じように会話に困っている人にとっても未来を切り開くアプリになる」とたたえた。
準グランプリは、一定の形の手のポーズをとるだけでシャッターが切れ、写真が撮れるアプリ「みらいカメラ」を開発した、栃木県代表の大塚陽葵(ひなた)さん(那須塩原市立黒磯小2年)が受賞した。大塚さんは「スマホのカメラのシャッターに触れずにポーズだけで写真を撮れるようになりたかった。準グランプリを受賞できて、すごくうれしいです」と喜んだ。
グランプリと準グランプリ以外の主な受賞者は次の皆さん。
【あいおいニッセイ同和損保賞】長谷川衣梨さん(秋田県代表、北秋田市立鷹巣小5年)
【アイティフォー賞】三澤康太郎さん(神奈川県代表、横浜市立西寺尾第二小3年)
【LINEヤフー賞】立塚悠馬さん(富山県代表、入善町立飯野小4年)
【全国新聞社事業協議会賞】常見胡桃さん(宮城県代表、美里町立青生小6年)
全国選抜小学生プログラミング大会は、プログラミング教育が小学校で必修となったことを受け、全国の地方新聞社らでつくる全国新聞社事業協議会が、プログラミング教育の推進や子どもたちの考える力や表現力などの育成を狙いに2020年度から毎年度開き今回で4回目。
2023年度大会の協賛は、あいおいニッセイ同和損害保険、アイティフォー、LINEヤフー、アマゾン ウェブ サービス ジャパン、クレスコ、佐川印刷、日本ジェネリック製薬協会、桃太郎電鉄 教育版、クォンツ・リサーチ、Davinci DX。