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ウクライナ情勢、円安を背景に高まる食料問題への認識 「食と環境・昆虫食に関する定点意識調査」9月の結果公表

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 食用コオロギに関する先端企業グリラス(徳島県鳴門市)は、「食と環境・昆虫食に関する定点意識調査2022年9月」の結果を発表した。それによると、1月の前回調査に比べ、「飢餓・食料不足」、「食料自給率の低下」などの項目で認識が高まったことが明らかになった。

 グリラスは、「前回調査から今回の期間で、ロシアによるウクライナへの侵攻や継続的な円安を契機とした物価高騰が発生しており、生活者が社会課題を身近な問題として認識するようになったことが、この原因の1つと推測されます」としている。

 今年2月下旬にロシアがウクライナに侵攻し、戦争が続いている。ウクライナは「欧州のパンかご」とまでにいわれる農業大国で、ウクライナとロシアの小麦輸出量の合計は世界シェアの30%であることから、小麦などの国際価格が高騰。また、急速に進んだ円安が輸入物価を押し上げ、小麦をはじめとした輸入品の価格を押し上げている。

 「飢餓・食料不足」の「内容を理解している」と回答した人の割合は43.4%で前回調査の40.7%から上昇した。また、「食料自給率の低下」へ理解を示した回答者は42.1%(前回調査41.0%)、「水資源不足」については30.8%(同26.0%)、「タンパク質危機」に関しては13.3%(同11.4%)と生活者レベルでの認識が進んでいることが分かった。

 ただし、「食品ロス問題」に対する認識は前回調査の54.6%から53.1%へと低下した。

 一方、食料問題の解決策として、育てる際に温暖化ガスの排出が少なく、タンパク質など栄養が豊富であるなどから、国連食糧農業機関(FAO)が推奨している昆虫食に対する認知や印象に関しては、ネガティブな反応が目立つ結果となった。

 「昆虫食に対する認知およびイメージ」を訊ねたところ、45.3%の人が「気持ち悪い」と答えた。前回調査では41.8%だった。また、「おいしくなさそう」との回答が24.3%と、前回調査の29.9%から低下したものの依然として高い水準。「『なぜ昆虫食?』と思う」との回答は22.4%から下がったが、回答者の18.4%いた。

 「生活者が昆虫食に対して抱いている認知や理解がほとんど変容していないことが明らかとなり、今まで以上に昆虫食の持つ魅力や、昆虫食が期待されている社会的な役割を生活者に知っていただくための企業努力が不可欠だと判明した」(グリラス)。

 徳島大学発のベンチャー企業であるグリラスは、ペットフード・飼料向けコオロギ事業を開始、粉末コオロギを使った自社製品「C.TRIA(シートリア)」のコンビニエンスストアでの展開、国際線機内食への自社食品原料の供給などを行っている。