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「自分の未来が楽しみになる役と出会えたことがうれしい」念願の朝ドラ初出演に手応え 前田公輝(砂川智)【「ちむどんどん」インタビュー】

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-ところで劇中では、智は暢子を一途に思い続けていて、その恋の行方も気になるところです。そもそも智は、暢子のどんなところにほれたのでしょうか。

 いろいろありますけど、一番は、世界一幸せそうにご飯を食べるところかなと。決して裕福とはいえない暮らしを送っていた智が家業の豆腐店を継ぎ、一生懸命作った豆腐を、暢子はものすごく幸せそうに食べてくれたんですよね。これは単なる僕の想像ですが、そのとき智は、恐らくつらいことや苦しいことを忘れるぐらい、心が豊かになったんだろうなと。身近にそういう暢子がいてくれることが、智にとって力の源になった。そんな女性は暢子のほかにいなかったんでしょうね。それが一番大きな理由だと思います。

-そして、智は暢子の後を追うように上京しましたが、そのときの智の心情をどんなふうに捉えていますか。

 暢子が東京に行ってしまった後、自分にとっての存在の大きさに気付き、心にぽっかり大きな穴が開いてしまった。その瞬間、今までふたをしてきた暢子に対する気持ちが確信に変わったと思うんです。そこで、自分も東京に出て行ったものの、智は暢子を心配する比嘉家の思いも背負っているし、自分自身も夢を追う暢子をサポートしたいという思いがある。だから、自分の気持ちを伝えたいんだけど、それが夢を追う暢子の邪魔になることは避けたい。そんな感じではないでしょうか。そういう意味では、暢子がどれだけ幸せに夢に向かってまい進できるか、ということが智の行動の核にあるのかなと。

-そんな智の思いが暢子に届くのか、これからも注目ですね。それでは最後に、この作品に対する思いを聞かせてください。

 朝ドラは僕にとって憧れの場所で、どんな小さな役でもいいから出演したいとずっと思っていたんです。それが、こんな大きな役で夢がかなった。しかも、「ちむどんどん」は家族の話ですけど、僕にとっても家族は大きな存在ですし、以前、僕が初めて長期ロケに出かけたのも沖縄、その上、僕の誕生日も“シーサーの日(4月3日)”なんです。そんなふうに、この作品には不思議な巡り合わせみたいなものを感じていて、出演していることが奇跡の時間としか思えません。しかも、智という役を通じて、人間として、役者として、あらゆる面で僕自身が更新されている感覚があるんです。自分の未来がこんなに楽しみになる役と出会えたことが、すごくうれしいです。

(取材・文/井上健一)