長谷川博己が主演を務める日曜劇場「アンチヒーロー」(TBS系)が放送中だ。本作は殺人犯をも無罪にしてしまう“アンチ”な弁護士・明墨正樹(長谷川)の姿を描き、視聴者に“正義とは果たして何なのか? ”“世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問い掛ける逆転パラドックスエンターテインメント。
このほど、明墨法律事務所に入所し、明墨のもとで学びながら「正義とは何なのか?」という問いに揺れ動く弁護士・赤峰柊斗を熱演している北村匠海に、撮影で感じている思いや作品の魅力、今後の展望などを聞いた。
-これまでの放送を受けて、反響はいかがですか?
「面白い」という反響が一番多いなと思います。「何が正義なのか」と考えてくれる方はもちろん、ストーリーの全貌が見え隠れしはじめたので、一体誰が本当に悪い人なのか、全員が怪しまれている段階なのかなと。僕としても、純粋にエンターテインメントとして楽しんでくださっている方がたくさんいて、とてもうれしいです。
-これまでの撮影で印象に残っていることはありますか。
テレビドラマにしては珍しく、台本が最後の方まで出来上がっている段階で撮影に入っているので、本作においては、その難しさを感じています。全体を通して感情を出すお芝居は意外と少なくて、事件の説明をするシ-ンが多いのが本作の特徴の1つ。特に明墨法律事務所での撮影は、1日掛けて全員でひたすら何かの説明芝居をしています。大変ではありますが、それをみんなで共有できている日々はとても愛おしいですね。
-NGが出ても和気あいあいとした雰囲気のようですね。
もうNGが出ても仕方がないんです(笑)。せりふそのものというより、視聴者の方々に分かりやすく説明することがとにかく難しくて…。覚えないといけない人名も多いので、「この人が何をやった人で…」という複雑な関係を説明しているうちに頭がこんがらかってしまうんです。第1話から3話は特に長谷川さんの難しいせりふが多くて苦戦されていたのですが、そこに対して少しずつ笑える空気感を作り出してくださって、それがその後、全員の助けにもなりました。
-肩肘張らないような関係性を作ることができているのですね。
そうですね。それでいてシーンによっては「次は和やかな空気で撮るものじゃないな」という役者としての配慮が全体的に漂います。シリアスな法廷のシーンではそういうお互いの距離感もすごく大事なので、全員が阿吽(あうん)の呼吸で臨めている感覚があります。
-長谷川さんのお芝居を間近で見て、どんなことを感じていますか?
僕なんかがとやかく言える立場ではありませんが、やっぱり迫力がすごいです。長谷川さんご自身は細いタイプだと思うのですが、赤峰として対峙(たいじ)するときは、すごく芯が太いなと感じます。明墨の独特な雰囲気は、長谷川さんだからこそ引き立つのだろうなと。役者はそれぞれのルーツによって演じ方が異なるのですが、長谷川さんのお芝居を間近で感じると、とてもワクワクしますし、赤峰としても立ち向かうかいがありますね。
-紫ノ宮飛鳥役を演じる堀田真由さんとのお芝居にも注目が集まっていますね。
紫ノ宮と赤峰は犬猿の仲のようで、実はずっと同じラインにいると思っています。第3話で赤峰がようやく紫ノ宮と並ぶような感覚があったので、この先2人が誰のために動いていくのかも注目してほしいです。撮影では相談して芝居を決めることはあまりなくて、テストの撮影でびっくり箱を空けるような感じで、「どうくるかな?」「そうくるか!」みたいなことが多いです。そんな僕らの“タッグ感”もぜひ楽しんでください。