カルチャー

ミツバチが飛び交える自然環境の回復を 山田養蜂場がウクライナ支援活動

大使館寄贈式_メインカット

 山田養蜂場(岡山県鏡野町)は、ミツバチが飛び交うことのできるウクライナの自然環境を復活させ子どもたちに残していこうと、ウクライナ養蜂家組合への支援を展開している。

 1000年以上にわたる養蜂の歴史を持つ農業大国であるウクライナ。同社によると、蜂蜜生産量は欧州で一位、世界でも上位5カ国に入り、多くをヨーロッパ諸国に輸出してきた。しかし現在、ロシアによる侵攻で多くの自然環境が破壊され、この半年で約3割のミツバチの群れが喪失し、養蜂業にも大きな影響が出ているという。そして、ミツバチがいなくなると花粉の媒介ができなくなり、多くの植物が実を結ぶことができない。これは、未来にわたって大きな環境破壊を招くことにもつながる。

 そこで、長年にわたり同社のアカシア蜂蜜を採取しているルーマニアの提携養蜂家と協力し、ルーマニア養蜂協会を通じてウクライナ養蜂家組合への支援を実施。在日ウクライナ大使館を通して、日本滞在中のウクライナ難民の就業希望者の受け入れにも取り組んでいる。

 今年5月20日から6月7日に実施した「世界ミツバチの日」キャンペーンでは、ルーマニア産「アカシア蜂蜜」を販売。売り上げの10%に当たる約390万円を支援費用の一部に充て、養蜂環境のための巣箱や用具を調達した。それらは8月19日に在日ウクライナ大使館(東京)で、同社代表の山田英生氏から駐日ウクライナ特命全権大使のセルギー・コルスンスキー氏に寄付金とともに寄贈された。巣箱は9月にウクライナの養蜂場に設置される予定。時機を見て、失われた蜜源植物の植樹活動も行っていくという。また、6月21日の夏至の夜には、「10万人のミツロウキャンドルナイト」を実施。20時から22時の2時間、多くの賛同者がそれぞれミツロウキャンドルを灯し、ともに平和を祈った。

 8月29日には、「ウクライナ支援ヒマワリ蜂蜜」(15g×10包、税込み1,620円)をはじめとするウクライナ産品の輸入販売を、公式オンラインショップでスタートする。1点購入ごとに100円が養蜂家の事業再開支援に充てられる。

 同社では自然保護区「ドナウ・デルタ」の環境保護支援を1999年から行ってきたが、今後、同地区の子どもたちへの教育支援にも取り組んでいく。さらに、ウクライナ難民の生活支援として、歯磨き粉・石けんなど同社製品の提供もしていく。