カルチャー

「5人目のビートルズ」ジョージ・マーティンに憧れて プロデューサー川原伸司の仕事録が好評発売中

川原伸司著書表紙

 「5人目のビートルズ」といえばプロデューサー、ジョージ・マーティン。彼に憧れながら、ショービズ界で活躍してきた川原伸司さんがこれまでの歩みを克明に語る。

 川原さんの著書『ジョージ・マーティンになりたくて~プロデューサー川原伸司、素顔の仕事録』(シンコーミュージック・エンタテイメント・東京)が好評発売中だ。税込み1,980円。

 川原さんは知る人ぞ知るショービズ界の仕事師。
 そのきっかけともなったのは1966年に体験したビートルズの武道館公演。「ビートルズに象徴されるような、永遠のユースカルチャーの扉」が開いたのだという。

 後に川原さんはさまざまなメディア関係者と交流しつつ、大瀧詠一、松本隆、筒美京平のブレーンを務めた、その貴重な体験談を具体的につづっている。

 78年ごろ大瀧と知り合った川原さんは一時期、月に一度は福生の大瀧邸を訪れていたという。名盤『ロング・バケーション』誕生秘話も明かされる。

 またビートルズの楽曲を大胆にアレンジした「イエローサブマリン音頭」の発案者も川原さんで、金沢明子によってレコード化されるまでを語る。

 ブレーンとしてばかりでなく、自ら作曲活動もしてきた川原さん。平井夏美名義で「少年時代」を井上陽水と共作、松田聖子の「瑠璃色の地球」などを作曲。

 プロデューサーとしては中森明菜、森進一、小林旭らの音源制作にも関わってきた。川原さんの炯眼は、聖子を「いわば“ミーイズム”のアイドル」とする一方で、明菜は「家(族)を背負っている重さがある」と見抜いていた。

 あとがきで川原さんは「世の中にアーティスト本は数多くありますが、スタッフ側からショービズの世界を語る本を日本で見受けることは少ないので、一切虚飾を排してお話しさせていただいたつもりです」と書いている。