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村上春樹の映画との関わりに焦点を当てた展覧会 母校・早稲田大学の演劇博物館で来年1月22日まで開催中

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 小説家・村上春樹の映画との関わりに焦点を当てた2022年度秋季企画展「村上春樹 映画の旅」が早稲田大学演劇博物館(新宿区西早稲田)で開催中だ。

 村上(1975年第一文学部卒)は在学中、よく演劇博物館を訪れ、まだ見たことのない映画のシナリオを読んでいたという。

 「文字だけのシナリオを読むことを通して、頭の中で映像を生み出し、一つの世界を構築すること。この学生時代の習慣は、作家本人が認めているように、後の小説家としての創作活動に大きな影響を与えたはず」(同館のホームページ)

 企画展では、「村上が通っていた映画館や学生時代に読んでいたシナリオ、エッセイや小説のなかに登場する数々の映画、そして小説を映画化した作品、などに関する数多くの資料を展示・・・スチル写真やポスター、台本などの映画関連資料とともに、村上がこれまで見てきた映画をまるで旅の軌跡を辿るかのように振り返る構成」となっている。

 展示は5章から構成されている――①映画館の記憶②映画との旅③小説のなかの映画④アメリカ文学と映画⑤映像化される村上ワールド。

 「そのような<映画の旅>を通して、村上文学が喚起(かんき)するイメージの豊かさを発見していただければ幸いです」(同)

 会場は、早稲田大学演劇博物館2階企画展示室。入場無料。会期は2023年1月22日(日)まで。開館時間は午前10時から午後5時(ただし、火・金曜日は午後7時まで)。休館日は、10月26日(水)、11月3日(木・祝)、4日(金)、9日(水)、23日(水・祝)、12月7日(水)、12月26日(月)~2023年1月9日(月・祝)、18日(水)。 最新情報は同館ホームページで確認を。

 また、フィルムアート社(東京)から公式図録が刊行された。価格は税込みで2,420円。村上による書き下ろしエッセイ『自分自身のための映画』を巻頭に収録。村上の短編『納屋を焼く』を映画化(『バーニング劇場版』)したイ・チャンドン監督、世界各国で多くの映画賞に輝いた『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督へのインタビューも掲載されている。巻末には、村上作品の年譜、彼の小説に登場する映画をまとめたリストも。

 昨年10月、早稲田大学国際文学館、通称「村上春樹ライブラリー」が、村上文学の研究を行うとともに、日本文学の国際化、文学の翻訳研究を目的に、早稲田大学キャンパスに開館した。村上から寄贈・委託されたレコードを聞くことが出来るラウンジや、学生が運営するカフェ「橙子猫―Orange Cat―」も設けられている。