カルチャー

日本で初めての「中国・雲南フェスティバル」がスタート! 高齢者も若者もなぜか親しみを感じる「雲南」にふれてみよう

オープニングで、日中のボランティアの若者による少数民族の踊りが披露された。
オープニングで、日中のボランティアの若者による少数民族の踊りが披露された。

 次に海外旅行をするなら「雲南」はありかも。そう思わせてくれる楽しいイベント「中国・雲南フェスティバルin東京」(主催:「中国・雲南フェスティバル」実行委員会、~7月28日)が始まった。日中国交正常化50周年となる今年、日本と雲南省のさまざまな文化交流を目的として、さまざまな企画が盛りだくさんのイベントが実現したのだ。東京・虎ノ門の中国文化センターで7月20日に行われた開幕式には、多数の来賓・関係者と来場者が訪れ、日本で初めて行われる「雲南フェスティバル」の開幕を祝った。

 中国の南の外れ(最西南部)に位置する雲南省は、ベトナム、ラオス、ミャンマーと国境を接し、面積は39万4,000㎢と日本とほぼ同じ。中国55の少数民族のうち25の少数民族が暮らしている、少数民族の聖地だ。それを表すかのように、オープニングセレモニーは少数民族の踊りからスタート。民族衣装を着た日中のボランティアの若者が、エキゾチックな音楽に合わせて少数民族のイ族とワ族の民族舞踏を披露した。

 続いて、「中国・雲南フェスティバル」実行委員会委員長で、認定NPO法人の日本雲南聯誼(れんぎ)協会理事長でもある初鹿野惠蘭(はじかの・けいらん)氏が主催者を代表してあいさつ。

「中国・雲南フェスティバル」実行委員会委員長を務めた、認定NPO法人日本雲南聯誼協会の初鹿野惠蘭 理事長。
「中国・雲南フェスティバル」実行委員会委員長を務めた、認定NPO法人日本雲南聯誼協会の初鹿野惠蘭 理事長。

 「雲南は私の故郷です。日本で30年間あまり暮らしてまいりましたが、故郷への愛着は変わりません。日本雲南聯誼協会は今年設立22周年を迎え、発足以来、日中両国の各界の皆様の絶大なるご支援をいただきながら教育支援に取り組み、(25の少数民族に50の小学校をというプロジェクトで)今日までに25の小学校を作り、また、およそ1,160人の貧困女子生徒の高校教育を支援してまいりました。今回のフェスティバルは協会の教育支援の成果を展示し、雲南と日本の青少年交流活動も行います。今後も協会がその使命を果たしていくために、ご協力のほどよろしくお願いいたします!」と、これまでの感謝と未来への展望を力強く語った。

 続いて、来賓の中華人民共和国駐日日本大使館 詹孔朝 総領事、外務省アジア大洋州局 中国・モンゴル第一課斎藤憲二 地域調整官、公益財団法人日中友好会館の黄星原 中国代表理事、一般財団法人日本アジア共同体文化協力機構 小松道彦理事らが次々と祝辞を述べ、雲南省から届いたビデオレターも紹介された。

 この日、大きなトピックとなったのは、日中の若者の新たな交流を目指して結成された、日本雲南聯誼協会 青年部の設立発表。中国側代表の季瑞頴(ヒ・ズーエイ)さんは、「協会の活動を今後も継続して行うために、より多くの若者たちに我々の活動を知ってもらい交流と理解の輪を広げたいと考えており、青年たちが独立して活動する青年部を設立する運びとなりました」とあいさつ。

日本雲南聯誼協会青年部、中国側代表の季瑞頴さん。
日本雲南聯誼協会青年部、中国側代表の季瑞頴さん。

 日本側代表の井上正順さんは、「日中の民間交流の促進には文化の理解が必要。まずは若者が率先して両国の文化を学び、みんなで学び合える、交流できるような場を提供する。そして日本と雲南の架け橋になれるような人材を育成していきたい。今後は定期的に東京を中心にさまざまな交流イベントを行い、理念に沿った活動をたくさんやっていきたい」と活動理念と抱負を述べ、入会資格を問われると「気持ちが若ければ誰でも受け入れます」と答えた。

日本と雲南の過去の大学生交流例を紹介する、青年部日本側代表の井上正順さん。
日本と雲南の過去の大学生交流例を紹介する、青年部日本側代表の井上正順さん。

 セレモニーは、テープカットや記念写真撮影の後、芦名雪希さんが演奏する、どこか懐かしくどこか物悲しい音色の民族楽器フルスの楽曲で幕を閉じた。

主催者と来賓によるテープカット。
主催者と来賓によるテープカット。
民族楽器フルスを演奏する芦名雪希さん。
民族楽器フルスを演奏する芦名雪希さん。

 日本雲南聯誼協会は正会員が約350人。賛助会員と法人会員もほぼ同数いるそうだ。全会員の半分以上が日本人ということに驚くが、これは雲南が決して日本と無縁の地ではなく、雲南に強い親近感を持つ人が多いこともその理由の一つかもしれない。例えば、みそやしょうゆなどの発酵食品、こんにゃくや納豆を食べ、米を主食とする雲南の人々と日本人には多くの文化的共通点がある。雲南を訪れた日本人は、農村風景や家屋の造りに、昔の日本を感じるという人も多いという。

会場には、プーアル茶やキノコなど雲南省の特産品を展示するコーナーも。
会場には、プーアル茶やキノコなど雲南省の特産品を展示するコーナーも。
中国のコーヒー豆生産の95%以上が雲南省で行われている。
中国のコーヒー豆生産の95%以上が雲南省で行われている。

 今回のイベントでは、雲南省の持つ少数民族文化や数々の世界遺産写真、特産物等を展示し、雲南省に対する理解を深めてもらうだけでなく、7月23日(土)・24日(日)には少数民族衣装を着ての撮影会やプーアル茶講座、雲南クイズ大会、象形文字トンパ文字講座、日中青少年交流など、たくさんの企画が用意されている。中国文化センターのホームページでプログラムをチェックして、日本で初めて行われる雲南フェスティバル(入場料は無料)を訪れてみてはいかがだろう。

会場には雲南の絶景や風物を写した写真も展示。
会場には雲南の絶景や風物を写した写真も展示。