カルチャー

新たに77選手の活動を支援 次代の人材を育成、上月財団

上月スポーツ賞受賞者。
上月スポーツ賞受賞者。

 次代を担う人材の発掘とトップアスリート育成の支援活動を行っている上月財団(上月景正理事長)は9月5日、東京都内のホテルで2022年度の「上月スポーツ選手支援事業」認定式と、コロナ禍で実施を見送っていた2021・22年度「上月スポーツ賞」の表彰式を行った。併せて上月財団設立40周年記念式典も開催した。

スポーツ賞の大橋らも表彰

 22年度の支援事業対象者は77人で、式に臨んだ50人が東尾公彦財団専務理事から認定証を受け取った。選手には年間60万円の助成金が支給される。今回から対象になった選手には、水泳の世界ジュニア選手権女子個人メドレーで200メートルと400メートルの2冠を達成した成田実生(金町SC、東京・淑徳巣鴨高1年)や、陸上の世界選手権男子400メートルリレーに出場した柳田大輝(東洋大1年)らが含まれている。対象選手を代表し、最年少の卓球の吉岡咲(千葉・松戸市立北部小5年)が「オリンピックの金メダル目指して挑戦します。上月財団のサポートを励みとし、感謝を忘れずに頑張ります」と、誓いの言葉を述べた。

上月スポーツ選手支援事業認定者の吉岡咲選手。
上月スポーツ選手支援事業認定者の吉岡咲選手。

 支援対象選手で、オリンピックや世界選手権で上位に入った選手に贈られるのがスポーツ賞。今回の表彰式には大賞(オリンピック金メダル)を受賞した東京オリンピック水泳女子の個人メドレー2冠の大橋悠依(イトマン東進)、同フェンシング男子エペ団体金メダルの山田優(山一商事)ら、6競技の18選手が出席。大橋は「大学生(東洋大)の時から支援を受けていて、ようやく結果を出せた。次世代の選手育成を含め、ご支援ありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。山田も「2014年に世界ジュニア選手権で優勝した時から支援を受けている。今回の受賞は本当にうれしい」と笑顔いっぱいだった。

好不況に関係なく40年

 上月財団は1982年に神戸市で設立された。スポーツ関連事業をはじめ、教育、文化の助成など、社会から求められる事業を推進し、これまで約8千件を超える助成を行ってきた。メインのスポーツ選手支援の対象者は、これまでで1327人に及ぶ。運営資金はすべて、上月理事長が創業し現在も会長を務めるコナミグループ株式会社の配当でまかなわれている。

 財団の実務を仕切る東尾専務理事は「これまで支援対象選手のうち、299人がオリンピック代表になり、77人がメダリストになった。目指すゴールに向かい努力する選手の姿が、新たな感動を生む。支援を通じ、より一層の社会貢献をしていく」と、今後も活動の充実を約束した。日本では1980年代から90年代にかけ、企業によるスポーツや文化事業の支援が盛んだったが、不況と同時に打ち切りのケースも目立った。上月財団による支援活動は、好不況に関係なく継続し、好結果を生み出しているのが特長だ。

上月スポーツ賞の歴史パネル。
上月スポーツ賞の歴史パネル。

表彰式に臨んだ上月スポーツ賞受賞者

▽水泳 乾友紀子(アーティスティックスイミング)金戸凜(飛び込み)大橋悠依、瀬戸大也、花車優、本多灯(以上競泳)

▽体操 堺亮介、高木裕美(以上トランポリン)

▽柔道 梅木真美、志々目愛、渡名喜風南

▽スキー 堀島行真(フリースタイル)中川海秀、三木つばき(以上スノーボード)

▽スケート 坂本花織、樋口新葉、壺井達也(フィギュア)

▽フェンシング 山田優