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トイレは「ふたを閉めて流しましょう」 松浦産業と岡山県玉野市が公衆衛生の向上で協定

トイレは「ふたを閉めて流しましょう」 松浦産業と岡山県玉野市が公衆衛生の向上で協定 画像1
玉野市×松浦産業 「アドレット」贈呈式(玉野市本庁舎)

 

 紙袋用取っ手メーカーの松浦産業(香川県善通寺市)は、岡山県玉野市と、公衆衛生の向上に関する協定書を締結した。トイレのふた裏に貼る消臭・抗菌・抗ウイルスシート「アドレット」を活用し、トイレ内での感染対策を行う。

 松浦産業は2019年に「アドレット」を事業化し、ノロウイルスやO157、手足口病など、トイレ内での感染症対策用に販売を始めた。トイレのふたを開けたまま水を流すと、人の背の高さくらいまで細菌やウイルスが舞い上がるといわれている。20年5月の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による提言でも、「便器のふたを閉めてから流す」ことが新しい生活様式として明示された。

 アドレットは、A4サイズのシートでカスタム印刷ができる。ご当地キャラクターが印字されたアドレットをCSR(企業の社会的責任)活動の一環として自治体へ寄贈する企業も増えており、これまでに飲食店や病院、ホテル、企業、個人のトイレなど、全国で約6万枚の導入実績があるという。松浦産業は、玉野市のキャラクターで、朝日新聞に連載中のいしいひさいち氏の4コマ漫画主人公「ののちゃん」と「ふたを閉めて流しましょう」の文字が描かれたアドレットの贈呈式を今年5月に行った。

 新型コロナによる外出自粛や経済活動の停滞で、松浦産業の根幹事業である紙袋の取っ手も大きな影響を受けた。松浦英樹副社長は「感染症予防という喫緊の社会課題解決が、遠回りではあっても、最終的に本業の事業継続につながるはずという思いでアドレットの拡販に注力する決断をした」と話している。