学校時代の古文や漢文は苦手だったけれど、“お勉強”と無関係に触れるからか、大人になって漢詩の言葉に美しさを感じることは少なくない。古来変わらない季節の情感や風物を詠んだ100の漢詩の言葉や表現を、美しいイラストとともに紹介した『漢詩の美しい言葉 季節』(翔泳社)が発売された。
かた苦しいと思いがちな漢詩漢文。なかなか触れる機会がないと思っているが、日常的に使っている表現は多い。たとえば70歳を「古稀(こき)」というのは、杜甫の「人生七十古来稀なり」という詩が出典。野球の「敬遠」も『論語』の「鬼神は之を敬して遠ざく」からきている。朝寝坊して「春眠暁を覚えず」と言い訳したり。
この本は、季節をテーマに100の言葉から始める漢詩入門。唐代を代表する白楽天や李白、杜甫をはじめ、孟浩然、王維、范成大(はんせいだい)などの漢詩だけでなく、菅原道真や夏目漱石などによる日本の漢詩も取り上げている。税込み2640円。