まめ学

115億光年の遠方のできごと 重力レンズが捉える超新星爆発

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 皆既食と惑星食という442年ぶりの天体ショーはご覧になっただろうか。月食はスマホで撮影する人も多く、なんとなく身近だったが、115億光年の彼方となると素人の想像の限界を超えている。でもそのかなたでの超新星爆発初期の様子を捉えることに成功したのが、千葉大学先進科学センターの国際共同研究チーム。超新星爆発の遠方観測世界記録を大幅に更新したのだそうだ。

 1光年は光が1年間に進む距離だから、その115億倍“向こう”のできごとを観測したということだ。重力レンズと呼ばれる効果によって、3個に分裂して観測され、またそれぞれの重力レンズ像の到達時間の違い、時間の遅れを利用することで、超新星爆発初期の明るさの時間変化をも捉えることができたという。

 ちなみに重力レンズというのは、恒星や銀河などが発する光が、観測者から見て手前にある天体などの重力の影響で曲げられる現象のことで、これにより複数の像が見えたり、変形した像が見えたりするのだそうだ。

 今回観測された超新星は、太陽の約500倍の半径を持つ赤色巨星(比較的低温度の巨大な恒星)の死に伴うものであったことがこれで明らかになった。研究成果は英学術誌 Nature 11月10日発行号に掲載された。