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大倉孝二「役者を辞めよう」の思いから始まったユニット旗揚げ 4年ぶりの新作は「いつも通りどうでもいい話」【インタビュー】

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 大河ドラマ「青天を衝け」の大隈重信役をはじめ、数々の映像作品や舞台で活躍する大倉孝二。劇団ナイロン100℃に入団したことをきっかけに俳優人生をスタートした大倉は、現在も舞台作品にも積極的に出演し、存在感を示している。そんな大倉と脚本家・演出家ブルー&スカイが共同主宰するユニット「ジョンソン&ジャクソン」の4年ぶりの公演「どうやらビターソウル」が11月9日から開幕する。大倉に「ジョンソン&ジャクソン」への思いや、本作の見どころを聞いた。

大倉孝二 (C)エンタメOVO

-2014年に旗揚げした「ジョンソン&ジャクソン」ですが、どんな思いから立ち上げたのですか。

 旗揚げ前に、僕が所属している劇団ナイロン100℃の番外公演のような形で上演した作品がきっかけになっています。当時、僕は俳優として行き詰まっていて、いろいろなことをやらせていただいていましたが、何だかうまくいっていないような気がしていて、役者を辞めようと思っていたんです。そんなことを顔見知りの人たちに話していたら、「やりたいことをやればいいんだ」とアドバイスをもらって…。それで、じゃあ、やりたいことは何だろうと考えた時に、ナイロン100℃に入るきっかけにもなった「ばかばかしい芝居をやりたい」と思うようになりました。それで、ブルー&スカイに連絡をしたら、彼も「もう辞めようと思っていた」というので、じゃあ一緒にと(笑)。

-ブルー&スカイさんと一緒にやりたかったんですね。

 もともとそれほど親しく付き合っていたわけではないんです。(舞台業界で)近しいところにはいましたが、連絡を取って2人で話をするのはいつ以来だろうというぐらい久々でした。

-いいタイミングでの連絡だったと。実際にユニットを主宰して公演を続けているうちに、行き詰まったという感覚はなくなっていったんですか。

 そう言えればいいのですが(笑)、いまだに「やっぱりこの仕事向いてないんじゃないか」と煮詰まることはたくさんあります。でも、一生懸命続けています。

-「ばかばかしい芝居をやりたい」というのは、俳優を目指したときからの思いですか。

 僕、俳優を始めようと思ったことは一度もないんです。演劇養成所に行っていましたが、そのときも、ものを作ることに加わりたい、面白いものに携わりたいという思いでした。そんな中で、初めて自分でチケットを買って見た演劇がナイロン100℃で、あの劇団の現場に行ってみたいと思って、オーディションを受けたんです。なので、くだらないことをやりたかったがために、たまたま俳優になっただけなんです。

-では今、演劇をやる上では、どんなところに魅力を感じていますか。

 良くも悪くもカット割りがないということです。映像だと「今、この人の顔を見てください」と分かりやすく提示されますが、演劇の場合は観客が誰を見るか決めます。詰まらなければ見てもらえないですし、面白かったら見てもらえる。それが映像との大きな違いだと思います。自分次第で見てもらえるというのは面白い部分だと思います。

-「ジョンソン&ジャクソン」では、作・演出も手掛けていますが、作品を作る楽しさはどこに感じていますか。

 最初は「作り手をやりたい」と思っていましたが、いざ作ると98パーセントが苦しみです(笑)。

-その苦しみが昇華されて、達成感を感じるのはやはり初日?

 今のところ、報われたことはそんなにないんです(笑)。何せ書きたくないんですよ。ブルー&スカイともずっと「あなたが書いてくれるなら僕は書きたくない」「あなたが一人じゃできないって言うから、嫌々やっているんだ」って、そんなやりとりばっかりです(笑)。ただ、ブルー&スカイが書くものは唯一無二のものがあるので、彼がやるものには出たいと思っていますし、彼がやるものをもっとたくさんの人に見てもらいたいという気持ちはあるので、一緒にやっているんです。