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絶滅危惧種の半分は植物 日本の希少植物を知る一冊

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 将来絶滅する可能性が高い生物種を「絶滅危惧種」というが、日本の絶滅危惧種のうち、半分以上が植物であることはあまり知られていない。SDGsの理念が世の中に浸透していく中で、希少植物のインターネットオークションでの取引禁止が検討されるなど、生物多様性を守る植物保護への関心が少しずつ高まっている。そこで、希少植物にはどんなものがあるのか、ガイドブック代わりに読める『さらに知っておきたい日本の絶滅危惧植物図鑑』(創元社・大阪市)が発売された。

 著者は、絶滅危惧植物の保全活動を行う京都府立植物園の元園長。約30年にわたって日本各地で撮影した絶滅危惧植物の写真の中から、新たに選んだ希少種約100種を、解説とともに紹介している。その中には、来春から始まるNHKの朝ドラ「らんまん」の主人公のモデルである牧野富太郎博士が発見、命名した植物もあり、日本の植物学の父と呼ばれる彼の偉大な功績を知ることもできる。

 また絶滅危惧植物の“ホットスポット”である小笠原諸島や奄美群島など、南方の島々の実情を伝えるレポートも掲載。「ナンジャモンジャゴケ」という奇妙な名前を持つコケなど、「コケ」や「きのこ」の仲間も紹介している。税込み2,200円。