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人々は何のためにワインを作り続けるのか 映画『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』

ニダル・ヤヒヤー駐日レバノン大使。
ニダル・ヤヒヤー駐日レバノン大使。

 まもなくボジョレーヌーボーの解禁日がやってくる。日ごろ、一番よく飲んでいるのはどこ産のワイン? フランス? チリ? それともオーストラリア? 中東の小国レバノンとワインを結びつける人はほとんどいないかもしれないが、実は世界最古のワイン産地の一つだ。レバノンワインの起源は、5千年前とも7千年前ともいわれている。レバノンには18の宗派が存在し、1975~1990年まで長い間内戦下にあった。そのため、レバノンというと紛争や難民を連想する人が多いだろうが、どのような状況にあってもレバノンの生産者たちはワインを作り続けた。時にはブドウ畑に爆弾が落ちたり、輸送のための道路が破壊されたりしても、彼らがワインの生産をやめなかった理由とは? レバノンワインの生産者たちにスポットライトを当てた映画『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』(WINE and WAR)が11月18日(金)に公開される。

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 レバノン東部にあるバールベックはユネスコの世界文化遺産に登録されている古代遺跡で、駐日レバノン大使館のニダル・ヤヒヤー大使によると、ローマ神話に登場するワインの神バッカスがまつられている。そして、現在のレバノンでワイン生産を始めた古代フェニキア人は、エジプト・ローマ・ギリシアなどに多くのワインを輸出していたという。レバノンとワインは、切っても切れない関係にある。

シャトー・ミュザールのワイン。
シャトー・ミュザールのワイン。

 映画に登場するのは11のワイナリーの生産者たちやワイン評論家ら。レバノンワインの父ともいわれるセルジュ・ホシャール氏(故人)は、「ワインは実に偉⼤な師だ。⼈々の⼼を通わせるのだからね。⼼が通えば平和になる。戦争はしない。」と語っている。
 『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』は、アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開される。上映時間95分。